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♪わさわさの妄想部屋♪

♪わさわさの妄想部屋♪

水面下~緑~

人はやがて 「現実」から「白」へ辿りつく


……君はだれ?

俺? ……お前だよ

僕は何処にいるのだろうか
分かっているのは 生と死の狭間であること
それ以外は 何も分からない
目の前にいるのが 誰なのかも……

水面下が描く 「緑」の系譜
それはいったい 何を意味するのか
「現実」から解き放たれた 少年が見た 一つの「白」
……いや 「現実」か……

それは 「記憶」の言葉


……君はだれ?

俺? ……お前だよ

お前はあの時何を「碧」?
お前はあの時何を思っていたんだ?

お前はあの時 俺を捨てた
「恐怖」に追われ 「罪」に耐え切れず
俺を捨てた

お前の「黄」は こんなものだったんだ


違う

違う

君が 僕を捨てたんだ
僕は「記憶」に苛まれ 「現実」に打ち勝つことが出来なかった
あの場所で 君がもっといてくれていたら……

君はあの時 僕を捨てた
それは僕が弱かったから?
僕が 「碧」から?

僕の「黄」は あんなものだったのかも知れない

だけども
それは君が僕を捨てる理由ではないはずだ


ほう?
お前は 俺がお前であることを分かっていて
そしてそれが何を意味しているか分かっていてそれを言うのか?

いいだろう 教えてやる
「橙」もない
俺が なんなのか……

――「理性」と「感情」
それが彼だった
それがすなわち「緑」だった

「緑」が欠けた人間が いったい「現実」で何を見ると言うのか
どんな人間も 「緑」が欠ければ ただ「橙」を浪費する物体でしかない

ならばそんな人間を 何が動かすと言うのか?
「緑」を恨んだ少年は いったい何を求めているのか……

……君はだれ?

俺? ……お前だよ

筋違いだろう?
何故お前は 「緑」を恨めるんだ?
何故今になって 俺を恨むんだ?


じゃあ……
今君と話している僕は何?

ただ 僕は彼女に会いたい
死ぬ前に 彼女に会いたい

だから 「緑」を恨む
そうしたら
もう一度 彼女に会えるかな って
ただ それだけ……

……分かっているなら さっさと行けよ

……え?

お前は 既に「緑」を取り戻している
だから あとはそれを二度と離すな
そしてこれを忘れるな

彼女と会えなかったのは 「緑」のせいだけじゃないということを

うん 大丈夫
ありがとう

……「緑」に言ってどうするんだ

わからない
でも 君は 僕に教えてくれたから

何回も言わせるな
――俺は お前だ


そして水面下は しずかに描き終える
もしかしたら 少年は 彼がなんだったのか
まだ分かってないかもしれない

だけど 少年はもう一度「緑」をつかんだ
それは 「記憶」の一片か
男は何も言わない

水面下が 生と死の狭間を映した
「緑」の世界

ただ 一つの「碧」のために……





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